米政府の7万BTC(ビットコイン)売却で価格はどう動く？
2025年1月20日、ドナルド・トランプ氏が米国大統領に再就任しました。この新政権の発足に伴い、ビットコイン市場は大きな変動を見せています。特に、米司法省が保有する大量のビットコインの売却許可や、トランプ氏の仮想通貨に対する政策転換が注目されています。これらの要因がビットコイン価格にどのような影響を及ぼすのか、最新情報を基に専門的な視点から分析します。
米司法省によるビットコイン売却の影響
米司法省が押収した69,370 BTCの売却が市場に与える影響は極めて大きい。特に今回の売却は、約1兆250億円相当（2025年1月時点）に上るため、市場の流動性に直接影響を与える可能性がある。
① 市場への即時影響
一般的に、政府主導の大量売却は市場に「供給ショック」をもたらし、価格の急落を引き起こす。実際、過去の米政府のビットコイン売却（例：2021年のシルクロード関連BTC売却）でも、一時的な下落が見られた。しかし、2025年1月時点では、仮想通貨市場が以前より成熟しており、機関投資家の関与が強まっているため、価格への影響は分散される可能性がある。
② トランプ政権の影響
トランプ新政権は仮想通貨に寛容な姿勢を示しており、政府が保有するビットコインを戦略的資産として保持する方針を打ち出す可能性がある。もし政権が売却を見直し、政府の財務資産としてBTCを保持する決定を下せば、供給の抑制につながり、価格の上昇要因となる。
③ 機関投資家の動向
米政府がBTCを市場に放出することで、機関投資家（BlackRockやFidelityなどのETF運営企業）がそのBTCを買い取る動きも予想される。特に、2024年に承認されたビットコイン現物ETFの影響で、機関投資家の資金流入が増加しており、これが売却の影響を和らげる可能性がある。
④ 価格動向の予測
短期的には売却発表によるネガティブな影響で一時的な下落が予想されるが、長期的には市場の需要増とトランプ政権の方針次第で上昇トレンドに戻る可能性が高い。特に、米政府がBTCを売却せずに保有を継続した場合、市場のセンチメントは大幅に改善し、2025年内に価格が12万ドルを突破するとの予測もある。
米司法省の売却は短期的な下落リスクを伴うものの、トランプ政権の政策次第では供給抑制につながり、長期的な価格上昇を後押しする可能性がある。投資家は政府の方針の変化を注意深く見守る必要がある。
トランプ政権の仮想通貨政策
① 戦略的ビットコイン準備金の創設
トランプ政権は政府が保有するビットコインを戦略的資産として保持する方針を示しています。これは、デジタルゴールドとしてのビットコインの価値を公式に認めるものです。
もし米政府がビットコインを大量に保有し続ければ、市場での流通量が減少し、需給バランスの変化によって価格上昇圧力がかかる可能性があります。これは、中央銀行が金を保有するのと同様の戦略です。
② 仮想通貨に関する大統領諮問委員会の設置
仮想通貨に特化した諮問委員会を設置するという政策は、市場の透明性向上と規制の明確化につながります。これまで米国では、SEC（証券取引委員会）とCFTC（商品先物取引委員会）が管轄を巡って対立するなど、規制の不確実性が市場の混乱要因となっていました。新たな諮問委員会の設立により、税制や証券規制などの課題が整理され、機関投資家が仮想通貨市場に参入しやすくなることで、市場の安定成長が期待されます。
③ ビットコインマイニングの推進
トランプ政権は、米国内でのビットコインマイニングを促進する意向を示しています。特に、中国が2021年にマイニングを禁止したことで、マイニングの主導権が米国へと移行しました。米国内でのマイニングが拡大すれば、ハッシュレート（マイニングの計算能力）が安定し、ネットワークの安全性が向上します。さらに、エネルギー政策と組み合わせることで、再生可能エネルギーとの統合も進む可能性があり、ビットコインの環境負荷に対する批判を和らげる効果も期待されます。
トランプ政権の仮想通貨政策は、市場の信頼性を高める要因となり得ます。特に、政府によるビットコインの戦略的保有、規制の明確化、マイニングの奨励といった施策は、中長期的にビットコインの価格上昇を後押しする可能性が高いでしょう。
ビットコイン価格の現状と予測
① 10万ドル突破の背景
ビットコインが2025年1月19日に10万ドルを突破した理由には、機関投資家の積極的な資金流入と市場の楽観的な見方が挙げられます。特に、2024年のビットコインETFの承認により、大手金融機関が資金を投じやすい環境が整いました。また、トランプ政権が仮想通貨市場を成長分野と位置づけたことで、政府の後押しが期待されたのも一因です。
② 司法省による売却リスク
しかし、米司法省が69,370 BTCを売却する可能性があるため、市場では供給過多への懸念が広がっています。過去の事例では、政府のビットコイン売却が市場に短期的な価格の押し下げ圧力をかけたことがあります。しかし、2025年時点では、機関投資家の買い支えがあるため、影響は限定的であると考えられます。
③ トランプ政権の政策次第で大きく変動
トランプ政権が政府保有のビットコインを戦略的資産として保持する場合、市場に流通するBTCの供給が減少し、価格が上昇しやすくなります。一方で、政策実行の遅延や期待値とのギャップが生じた場合、市場の調整局面に入る可能性もあります。
④ 価格予測
短期的には、政府売却の懸念で10万ドル前後のボラティリティが続くと見られます。しかし、政府の売却が抑制されれば、2025年後半には12万～15万ドルに達する可能性も考えられます。
まとめ
トランプ政権の発足により、ビットコイン市場は新たな局面を迎えています。政府の仮想通貨政策や米司法省の動向が価格に直接影響を及ぼすため、投資家は最新情報を注視し、柔軟な対応が求められます。特に、公式な発表や政策の進捗状況を確認し、信頼性の高い情報源からの情報収集を心がけることが重要です。
